「青いケシ」フラワートレッキング

 ヒマラヤには様々なトレッキングコースがありますが、最も有名なのはエベレスト街道です。その中でも「青いケシ」を見るためのルートはやはりゴーキョ方面でしょう。今回はゴーキョから更に奥にあるチョオユーベスキャンプへのルートを紹介します。このコースは拙著「ヒマラヤ地水風空花」(天空の花園に青いケシを求めて)の中で探訪記として詳しく述べられていますが、その概略をまとめてみました。トレッキングの計画と準備に役立てば幸いです。

Ⅰ トレッキングコース
Ⅱ 日程(スケジュール)
Ⅲ トレッキングの高山病対策と高度順応(高度順化)
Ⅳ トレッキングに必要な装備と携行品
Ⅴ トレッキングの申請と手配
Ⅵ トレッキングの費用

Ⅰ トレッキングコース

 エベレスト街道の終点はカラパタールですが、今回は青いケシを見るためゴーキョを経由し、さらにその奥にあるチョオユーBC(ベースキャンプ)を目指します。ゴーキョ周辺にも青いケシは咲いています。しかしゴーキョはその入口に過ぎません。天空の花園はその先にあるのです。
 左の図はルクラを出発し、チョオユーBC到着までの往路で、右が帰りの復路です。青いケシを見ることができる7月上旬から下旬までのトレッキングコースとして参考にして下さい。

トレッキングマップ【往路】
トレッキングマップ【復路】

Ⅱ 日程(スケジュール)

 これは2019年に行った当初の日程表です。実際には様々な出来事に対応するため、多少変更されました。行きはルクラから10日間、帰りは5日間、そして日本を出発して帰国までの全日程は24日間です。青いケシを見るためには1ヶ月近い日程が必要になります。それはこの時期ヒマラヤが雨期に入っているからです。往路で1日の移動距離が短く設定されているのは雨の中のトレッキングと高度順応のためです。また、フライト予備日も雨期のヒマラヤには欠かせません。

Ⅲ トレッキングの高山病対策と高度順応(高度順化)

 ヒマラヤトレッキングで注意しなければならないのは高山病です。日本には標高4000mを越える山はないため、初めてのヒマラヤトレッキングでは誰もが直面する問題です。この解決策は高度順応しかありません。具体的には次のとおりです。
 1日の移動標高差は300~400mが目安になります。低地では移動高低差が1日に500m以上でも問題ありませんが、3000mを超える場所では1日の移動高低差を小さくすべきです。体調によっては移動しない高度順応日を設けるとよいでしょう。そのためには宿泊地点の標高を事前に調べておく必要があります。

Ⅳ トレッキングに必要な装備と携行品

 長期間のトレッキングに何を持っていけばよいのか悩むところですが、私が毎回チェックリストとして使用している表があるので参考にして下さい。

Ⅴ トレッキングの申請と手配

 ネパールに入国するためにはパスポートのほかビザが必要です。トレッキング用のビザは観光ビザで、滞在日数により金額が異なります。パスポートの有効期限もチェックしておきましょう。
 先ず、ビザの取得方法には2つあります。一つは在日ネパール大使館で取得する方法で、二つ目は現地の空港で取得する方法です。二つ目についてはネットで事前申請し、料金だけを現地の空港で支払います。事前申請していても期間を過ぎると無効になるので要注意です。
 次にトレッキング区域には国立公園や世界自然遺産に指定・登録されている場所があります。(エベレスト街道はクーンブ地方にあり、ここは世界自然遺産に登録されています)。外国人がこの区域に入るためには入域料を支払わなければならなりません。申請書や写真など添付書類が必要な場合もあります。
 個人での申請や手配が難しい場合は旅行業者に委託すると良いでしょう。日本にはヒマラヤの観光を得意とする会社(ヒマラヤ観光開発株式会社など)がいくつか有ります。

2019年のネットによる申請書
2019年入域領収書
2019年の国立公園入域許可書

問い合わせ先

●ネパール国大使館 
 〒 153-0064 東京都目黒区下目黒 6-20-28 フクカワハウスB
 Tel: 03-3713-6241,6242
 Fax: 03-3719-0737
 – Embassy of Nepal – Tokyo, Japan (nepalembassy.gov.np)

●在ネパール日本国大使館 
 Panipokhari, Kathmandu, Nepal 郵便私書箱 P.O.Box 264
 電話番号 977-1-4426-680
 Fax 番号 977-1-4414-101
 E-mail 一般用:inquiry-emb@km.mofa.go.jp
 大使館案内 | 在ネパール日本国大使館 (emb-japan.go.jp)

●【例】ヒマラヤ観光開発株式会社 
 〒105-0004 東京都港区新橋三丁目26番3号 会計ビル5階
 TEL:03-3574-9292(代表)
 E-mail info@himalaya-kanko.co.jp
 ヒマラヤ観光開発株式会社 | ヒマラヤでのトレッキングならお任せください! (himalaya-kanko.co.jp)

Ⅵ トレッキングの費用

 次のデータは2019年(ウクライナ戦争やコロナウィルス以前)チョオユーBCトレッキングでかかった個人手配の費用です。最近、燃料費の高騰や物価の変動、円安(2023.3.4現在)により旅行費用が高くなっているのでご注意下さい。
●旅行会社への支払額は63万2000円
 内訳は全行程のホテル・ロッジ宿泊代、ネパール国内線飛行機代、入域料、パーミット取得費用、ガイド1人・コック兼ポーター1人・ポーター3人の費用、テント・寝袋・炊事用具・酸素ボンベなどのレンタル代、食材仕入れ代など
●国際線往復飛行機代10万9870円(エコノミークラス)
●ガイド・ポーターへのチップ代8万7500円、ホテル・ロッジ・滞在中の食事代5万円、飛行機の荷物重量超過代・ビザ取得費など5万4000円
●合計費用は93万1700円でした。
 特殊なトレッキング形態なので100万円以上の費用がかかることもあります。トレッキングの詳細については旅行会社に問い合わせて下さい。

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